フラメンコで習う曲⑤タンゴ

難易度:初級~中級
フラメンコのタンゴと、アルゼンチンタンゴは、全く別のものです。
その起源には所説ありますが、南米あたりで発生した音楽がアルゼンチンルートを辿って伝わりアルゼンチンタンゴになり、一方、アンダルシアルートを辿って伝わったのがフラメンコのタンゴになり、伝承の途中で形を変えていったのではないかと言われています。

曲を聞いた感じも、印象が違いますよね。
フラメンコの「タンゴ」は、演奏もアコーディオンではなく、いつも通りフラメンコギターです。アルゼンチンタンゴのようにしっとり系でもペアで踊るものでもありません。タンゴは2拍子で、自分の世界に入ってしまえるアップテンポでかっこいい曲。
元々は「曲」というカテゴリではなく、お祭りなど人々の集まる場所で、即興のギターに即興の歌、そこに即興の踊り、としてやっていたもので、(伝統的日本人気質の私はこういうのは本当に苦手)ここに唄振りがあってここでエスコビージャ(足連打)があって、といった構成的な決まりごとはないです。その即興所以もあってか比較的短い曲が多く、簡単な振付でさっと覚えて、発表会やイベントのフィナーレでセビジャーナスの代わりに踊られることもあります。

リズムは「ズンチャチャ ズッチャン、ズンチャチャ、ズッチャン」の繰り返し。私はいつも8拍を1つの流れとしてカウントしています。
1拍目と5拍目にアクセントがあります。3拍系(12拍子)の曲とは違って、リズムがとりやすいと言われていますが、私にとっては結構奥深い曲です。習い始めの頃は裏拍に入るのが遅れてカウントがおかしくなって・・・を何度も繰り返す日々。カスタネットなどの小道具もなく、笑顔封印で、アレグリアスのシレンシオといった曲調の異なるパートもなく、お客様の気をそらす事もできないのです。
要所要所の足の連打、強弱をつけたキレのある動き、しなやかな指の動きとスカートさばきで、観る人を引きつけます。

タンゴはまさに、踊りで勝負する初めての曲。
観られるプレッシャーもありますね。観に来てくれた友人たちは「アレグリアス」と聞いてもあまりなじみがないですが、「タンゴ」と聞くと、「おおっ」と期待します。脳内である程度のイメージが生まれます。それを上回る踊りを披露せねばなりません。その分、気合も入るのでした。

タンギージョ、ファルーカ、タラント、ティエント、タンゴ・デ・マラガなど、タンゴから派生していった曲はたくさんあります。追々ご紹介していきますね!

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