「プロになるの?」って聞かないで
フラメンコ5年生くらいから、「将来は先生になるの?」と聞かれるようになりました。
10年生にもなって、たまにショーに出たりしている最近では、「プロになるの?もう今既にセミプロでしょ?」と、聞かれるようになりました。
でも、先生になんてならないし、プロにもならないし、(というかなれないし、)既にセミプロでも何でもなく、私はただのフラメンコを習っている会社員に過ぎません。ショーに出てるのは修行のためだし、ギャラはいただいていません。そう言うと、いつも不思議な顔をされてしまいます。
「なんで?習い事をして、これだけ夢中になっていて、先生にならないの?なれないの?ショーに出ててノーギャラ?勉強?プロにもなれないってどういうこと?じゃあいったい、何のためにお金払って習ってるの?」・・・と、いう事らしいです。
そりゃ私だって、仕事につながるような、収入につながるようなことに自己投資して10年過ごして来たら、今頃どんな自分だったかなって思う!独立開業とかできてたかもしれない。ステップアップの転職もできてたかもしれない。
でも、メンコでなければ得られないものも沢山あったのよ!これは理屈じゃないんです。クラフト女子にはこの気持ちはわかんないんだよ!と言いたい。
文化系の習い事と、運動系の習い事の違い
フラメンコ、バレエ、ジャズダンスなど、大人になってから趣味として習い始める時、みなさんのきっかけは何ですか?「プロになる!」とは思わないですよね?身体を動かすエクササイズの延長で、自分の美を磨きたい、とかじゃないですか?
まだ20代前半くらいでフラメンコに出会って、実はものすごく才能がある事がわかって、コンクールに出てフラメンコ留学するくらいのレベル、であれば、フラメンコを生業として生きていくかもしれません。でも、会社員の習い事のフラメンコは、たとえそれが趣味の域を超えた高レベルにあっても、やはり習い事に変わりはありません。
じゃあ何のために続けてるの?って事ですが、自分自身のためです。「やり遂げた!」私はもう十分だ!」と思えたら、やめるのかもしれないですし、おばあさんになっても続けているかもしれません。ずーっと、遠くの遠くのゴールに向けてマラソンをし、走り続けている状態です。
これがもし文化系の習い事であれば、例えばカルトナージュを極めて数年後には自分の教室を開いたり、自作のアクセサリーを販売したり、という展開がありますね。この習い事にかかる月謝は将来のための先行投資となって、ゆくゆくはそれで収入を得る事ができます。
こういう堅実な文化系クラフト女子には、私のようなダンス女子の思考回路が理解しがたいそうなのです。
フラメンコを続けても、何かになれる訳ではありません。自己満足と言われてしまえば、その通りです。楽しいばかりでもなく常に自分自身への挑戦で、壁を越えて達成して、また次の壁に挑む。フラメンコは永遠の長距離走です。