フラメンコで習う曲⑥タンギージョ

難易度:中級
タンギージョは「タンゴ系」と言われる、要は「タンゴ」から派生したお仲間の曲です。「小さなタンゴ」という意味でもあります。港町カディスのお祭りで踊られていたせいか、タンゴと比べると明るくテンポが良く、かわいらしい愛嬌で魅せながら軽快に踊ります。コルドべス(帽子)を使う事が多いです。私の教室ではカスタネットと帽子で踊っています。

この曲は私にとって、足の連打+その他何かを同時にやる、という器用さが求められる最初の試練でした。足の連打、スカートさばき、カスタネット、帽子の動き、胸や肩の動きなどなど、何か1つに気を取られると次の何かを失敗するという負のスパイラル。
帽子を動かしていると、「あぁ、カスタネットの紐が緩んできた(汗)どうしよう。」
カスタネットを打っていると、「ひー、帽子が頭から浮いてきた気がする。いま浅く被ってる。次の回転で帽子落っことしたらどうしよう。」
足を打っていると、「次だ、次は足とスカートさばきと身体の向きをいつも間違えるところ!」
・・・なあんて、踊っている最中に心の中で次から次へとプチ事件が起こっていました。
技術的には、しっかり足打ちをしながらの場所移動が難しいです。結構長い足の連打の箇所があるので、発表会等ではその尺を使ってフォーメーションの大移動がなされます。運が悪いと舞台の端から反対の端までを移動します。普段のレッスンで、その場でやっている足の連打。それでさえ完璧にはできていないのに、かなりの距離を移動(歩き)しながら足を打つことは容易ではありません。
「足は毎回ちゃんと上まであげて、床下に打ち込むように振り下ろして」という鉄則を貫こうとすると、速さについていけません。ではフラメンコらしい足の音すら聞こえないくらいスルっと軽く歩いてしまってよいのかというと、そうではない。限られた可動域の範囲内でMAXに足さばきをして、足は1回1回きっちりと床に着地させる必要があります。そうしないと、生ギターで踊る時は自ら曲のスピードを速めてしまい、曲の最後のほうは超速フラメンコになってしまいます。

軽快な曲ですから、お客様からの評判も上々。帽子を使ったキメポーズなど、見せ場も度々登場するので印象に残るようで、「帽子のあれ、良かったよー。」と言われることも多いです。お客様との距離の近いレストラン等でこの曲を踊る時、踊り手である私もにこやかに客席を見渡す事ができるのですが、みなさん明るい楽しい表情をしておられるので、こちらもテンションがあがって気分爽快になります。同じく帽子を使う「ガロティン」でもそうですが、お客様の反応、踊り手、唄、ギターの要素がうまく絡み合うと、ヤッター!と、思うのであります。

一方、暗い曲を表情気にしないで踊るほうが好きな方は、笑顔で元気ハツラツに踊るタンギージョは違う意味でちょっとした試練があります。1曲5分間くらい、表情と雰囲気、保てますか?
私は個人的には好きな1曲でありますが、いまだに間違えポイントが点在して、久々に踊る時にはかなりの復習が必要です。

タンギージョで帽子を使ったら、次の出番は「ガロティン」。また後ほど取り上げたいと思います☆

関連記事