クラシコエスパニョール「バイレ・デ・ルイス・アロンソ」はおじさん花婿の話だった・・・

結婚式中の舞踏会の場面だったバイレデルイス

私達踊り子にとっては、クラシコの曲以外の何物でもありませんが、吹奏楽をなさる方にはオーケストラ曲としてお馴染みのはずの、「ルイス・アロンソの舞踏会」=「バイレデルイスアロンソ El Baile de Luis Alonso」。チャラララ♪という曲の出だしが印象的ですよね。なるほど、「舞踏会」と言われると納得。途中ワルツ調のところなんかはまさにそのイメージ。

バイレデルイスはヘロニモ・ヒメノスというスペインの作曲家の代表曲で、姉妹曲として「ルイス・アロンソの結婚式(婚礼)」=「La Boda de Luis Alonso」があり、どちらもスペイン版のオペレッタという位置づけの「サルスエラ」の曲になります。

オペレッタなのでストーリーがあります

『ルイスアロンソさんという50代の踊りの師匠がいて、若くて美しい娘を見初めた。その娘には彼氏が居たけれど、地位も名声もあるアロンソさんを両親が推したこともあり、結婚する事に。結婚式の日取りも決まったそんな時、アロンソさんは元カレの存在を知る。不安にはなるものの、結婚式強行。案の定、式の舞踏会の途中で、元カレが復讐のために闘牛を連れてババーンと式に乱入。会場がカオスな中、アロンソさんは花嫁を置いてそそくさと逃げ帰ってしまう。やがて事態が落ち着くと、ゲストたちが会場に戻ってくるが、「おっさん花婿、花嫁を置いて保身で逃げたんじゃね?」となり結局みんなでシラケちゃいましたとさ。

「サルスエラ」は、喜劇的&風刺的なものを多く題材に扱うと言いますから、その典型とでも言えるでしょうか。
なので、クラシコのバイレデルイスは、若い子を射止めたお花畑的な嬉しさとか、たまによぎる不安→それを掻き消し結婚式へまっしぐら、みたいなアロンソさんの感情も入っているのかも???
ストーリーは私が英語サイト等で見た情報の和訳です。スペイン語ができたら、スペインのサイトでもっと調べられたのに。。もし詳しい情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えていただけると嬉しいです。
なんでいきなり闘牛が出てくるのかわからんのです。でも、闘牛士の恰好をした男性踊り手と女性の群舞という演出になってる踊りも見たことがあるので、おそらくそこからきているのでしょうね。

エルビトとバイレデルイスは同じ曲?

さて、ワタクシ、疑問があります!
私の知ってる「エルビト El Vito」というクラシコの曲は、一部、バイレデルイスと曲調がかぶるのですが、どういうことなんでしょう???
どうやら「ルイス・アロンソの結婚式(婚礼)」=「La Boda de Luis Alonso」の一部分が、エルビトにあたるらしいです。エルビトを初めて聞いた時、「なにこのロシア民謡みたいなの?!」と思いましたが、本当に、アンダルシア地方を起源とする民謡(フォークソング)でした。オーケストラで聞くのと、風刺のきいた歌詞がのった民謡調で聞くのとでは、印象は大違い。

カスタネットの女王の動画がオススメ

Youtubeではいろんなバージョンが聞けますので、色々と探して見てください。
探す中で、オーケストラの前でカスタネットを持った女性ソリストのものも目につくと思います。
その方は「カスタネットの女王」と言われるルセロ・テナLuceo Tenaさん。1938年生まれ。メキシコ出身の元フラメンコ舞踊家(カルメン・アマヤの弟子)で、踊りを引退後はプロのカスタネット奏者として多くの舞台に立っていらっしゃいます。「アランフェス協奏曲」で有名な作曲家ロドリーゴも、彼女のためにカスタネットの超絶技巧をつめこんだスペイン舞曲を作ったほどだったそう。

オーケストラの管弦楽曲に、フラメンコのカスタネットやサパテアードの音が加わると、臨場感があふれてよりドラマチックになりますね!ルセロ・テナさんの動画は「ラヴィダブレベ」版でもたくさん出てくると思います。カスタの音が耳に心地よくて心地よくて、聞き入っちゃいます。

踊りの豆知識として(笑)

さてさて、今回の記事で、私と同じように「なんとなくは知っていたけど、そうなのねー」と、ガッテンしてくださる方はいらっしゃいましたでしょうか。
クラシコを始めた頃の目標は、「バイレデルイス」を踊れるようになる事でした。踊りを習得することに夢中で、その曲がうまれたバックグラウンド等を知るのは二の次になってしまうワタクシですが、ここいらでちょっと調べてみました。
習得後何年も経ってしまったバイレデルイスはあまり出番も無く(涙)、もはや・・・忘れまくっていて踊れないかもしれませんが、次に踊る機会でもあれば、「この後、元カレに乱入されるんだってよー(笑)」とでも思いながら、踊りを楽しみたいと思います。

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