フラメンコで習う曲⑦グアヒーラ

難易度:中級~上級
アバニコ(扇)を使う曲。
スペインの植民地だったキューバ民謡の影響を受けており、どこかノスタルジックだけれど明るく優美なフラメンコ。恋の唄が多く、甘い雰囲気で踊る事が多いです。のびやかな唄と品良くあでやかな踊りで、踊り手・唄い手・お客さんの3者が心地よく幸せな気持ちになれる曲。私は大好きです!

グアは「イーダ・イ・ブエルタ」と呼ばれる類の曲の代表曲です。「往復」「行って帰ってきた」という意味合いがあります。と、言うのも、スペインからキューバへ渡り、様々な影響を受けながらスペインに再び戻ってきて出来上がったからなのです。

曲の説明としては2説あります。明るい曲だけれど・・・どちらも切ない背景です。
1説は、大航海時代の国が繁栄していた頃、スペイン人がビックドリームを夢見て開拓民としてキューバなど中南米の植民地へ移民したものの、そこで不遇の時間を過ごし、スペイン勢力の衰えと共に夢破れて祖国へ戻る。スペインに戻ったら苦しい時代の事は脇によけて、キューバの美しさや魅力を歌詞に込めて作った。
もしくは、移り住んだキューバで冷遇されながらも、耐え忍んで土地を開拓し、遠く離れた異国の地で祖国スペインを思い懐かしんで作られた、と言われています。

タイトルの「グアヒーラ」というのは、植民地で肉体労働(農夫など)をしていた上記の彼らのことをさします。
・・・にしてもですよ。歌詞が明るい。さすがはスペイン人!冷遇されて悲しい歴史の狭間を生き抜いてきたというのに、日本海の荒海なんちゃらのような演歌のようにはならんのですな。「結婚しよう。お父さんとお母さんに挨拶に行こう。」「好きだよ。朝になったらコーヒー飲んで、ハバナの街を散歩しよう。」といった、明るくラブリーな歌詞になっています。
カラコレスに続き、アバニコを持って踊るのはグアヒーラで2回目ですね。甘い曲なのに、アバニコをただパタパタ振り回していたら、せっかくの風情が台無しです。アバニコをパッと止めた決めポーズや、唄のコブシにあわせてゆっくりと動かすポーズ、アバニコを開閉しながらクルクル回るところなど、この曲ではアバニコの使い方で踊りの雰囲気が大きく変わります。扇子という小道具を最大限に活かせるよう、表情や目線も含めて踊りの雰囲気作りを大切にしましょう。アバニコの先までが、自分の手先指先だと思って丁寧に、気持ちをのせるような感覚で動かすと良いですよ。

余談ですが、昔はアバニコの動かし方に秘密の意味があって、女性から男性への好きとか嫌いとかのサインが込められていたそうです。なるほどなるほど。だから「グアヒーラ」はあまーく優美なんですね。
スタンダードなグアヒーラを習得したら、次は「バタデコーラ」で踊ることもできます。これから先も楽しみに、踊りを育てていきましょう!

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